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冬の花火〜追憶と感謝の線香花火〜

[115]K'SARS


 季節は冬。
 大地は白いじゅうたんに包まれていて、子供たちは元気に遊んでいた。
「ふう〜、子供たちは元気ですね」
「ですね〜」
「はぐはぐはぐ、みかんはおいしいの〜」
「こたつの中は温かいお〜」
 …修正。
 一部の子供たちはこたつでぬくぬくしていたけど、元気で過ごしている。
 そんな日常の中で、僕は管理人さんから、全く季節が反対のもの渡されていた。
「どうしようかな、これ…」
 僕の手に握られてたのは、大量の花火。
 なんでも、近所の子供会で夏に使っていたものを管理人さんが引き取って、でもどう処分していいかわからずに、僕に引きとってほしいということだった。
 冬に花火なんかしないんだけどと言ったんだけど、強引かつ泣き脅しを使われて、やむえず引き取ってしまった。
 小量だったら捨ててしまえばよかったんだけど、あまりにも大量だったため、どう処分していいのかわからないのだ。
 こうなれば、みんなでやってしまおう。
 これだけの花火をただ処分するのももったいないし、みんなでやったほうがまたいい思い出が出来ていいな。
 よし、今からみんなでやろうっと。
「ただいま〜」
「おかえりなさい」
 あれ? 声が1つだけしかしない。
 しかも、この声は、モモだ。
「おかえりなさい、ご主人様」
「ただいま。ところで、家にはモモ1人?」
「はい。お姉ちゃんたちはトキさんに呼ばれて千石屋さんに行きましたし、ルルちゃんとナナちゃんは、学校の友達のお家にお泊まりに行きました」
 なんというタイミングの悪さ。
 まあ、2人っきりの花火っていうのもいいよな。
 それに、普段モモが良い子でいたごほうびということにすれば、みんな納得してくれるよな。
「じゃあさ、モモ。今から外に出て、花火しようよ」
「えっ? 花火、ですか?」
 う〜ん、やはり疑問に思うか。
「そうだよ。まあ、普通は夏にするものだけど、冬にする花火もきっと綺麗だよ。ねっ」
「…はい。花火、やりましょう」
「それじゃ、ちゃんと準備をしてから行こう」
「はい!」
 僕は一旦中に入って、バケツとライターを準備して、モモと一緒に近くの公園へと向かった。

「誰もいないですね」
「まあ、冬だからね」
 夜になった冬の公園には、子供たちが誰もいなかった。
 敷地内には無数の足跡があって、雪だるまもあった。
 僕たちは公園の中央に行って、袋の中に閉まってあった花火を下に置く。
「さてと、やろうか」
「はい」 
「っと、その前にバケツに水…、いや、雪でいいや」
 僕はバケツに周りの雪を入れてから、花火の入っている袋を1つ開けた。
「さあ、好きな花火を取っていいよ、モモ」
「は、はい。えっと…」
 モモはどれにしようかと、真剣に悩んでいる。
 あはは、かわいいな。
 そういえば、僕にもこんな時代があったんだよな。
 父さんと一緒に家の庭で花火をして、僕は次に差し出される花火を心待ちにしていたっけ。
 このときだけは、悲しみを忘れることができた。
 大切な家族を失っても、花火をする瞬間だけは、笑顔を取り戻していた。
 でも今は、立場が逆になっているんだな。
 僕が父さんの役をして、モモが子供の役。
 だから、モモには楽しんでもらわなきゃな。
「まずは、これからにしたら?」
 僕はよく入っている普通の花火を差し出した。
「は、はい」
「じゃあ、つけるよ」
 花火の先端にライターの火を近づけて、着火させた。
 瞬間、色取りどりの火花が散って、視覚に美を感じさせた。
「綺麗です…」
「そうだね。夏にする花火もいいけど、冬にする花火も、なかなかだね」
「はい!」
 モモは一瞬で無くなる美に、目を輝かせていた。
 そして、輝きが無くなると同時に、僕はまた新しい花火をモモに差し出す。
「ありがとうございます。ご主人様」
「さあ、どんどんやろうよ。まだまだこんなにあるんだし」
「あの、ご主人様は、花火、やらないんですか?」
「僕は見ているだけで充分だよ」
「そう、ですか…」
「…と思ったけど、やっぱり僕もしようっと」
 僕は花火を1つ取って、自分で先端にライターの火で着火させた。
 でも、だたそれだけじゃつまらないので、ちょっとした悪ふざけで回してみた。
「きゃあ! ご、ご主人様、危ないですよ」
「あはは。ごめんごめん。ちょっと、昔のことを思い出したら、つい、ね」
 昔、よくこんな風に回して遊んでいた。
 回転するして出来る煙の円が楽しくて、火をつけるたびに回していた。
 そして、楽しみの分だけよく怒られたのも覚えている。
「でもまあ、普通にしてもおもしろいからね。一緒に楽しもうか、モモ」
「はい」
 それからしばらく、僕とモモは冬の花火を楽しんだ。

「やっぱり、最後はこれだね」
 あれから色々な花火をして、残りわずかとなった。
 そして、やっぱり残ったのが、あの花火。
「これ、線香花火ですよね?」
「そうだよ。やっぱり、花火の締めといえば、これに決まり」
 僕は線香花火に火をつけて、下に垂らす。
 ばちばち。
 今までの花火に比べたら、地味かもしれない。
 だからこそ、最後まで残る線香花火。
 でも、意味があるからこそ、最後まで残るんだ。
「モモもやってごらん」
「はい」
 モモの線香花火にも火をつけてあげる。
「なんか、落ちつきます」
「そうだろ? 今までの花火は美と興奮を演出していたけど、これは、落ちつきと振り返りを兼ねているんだよ」
「モモも、そう思います」
「…でも、線香花火には、もっと別な意味があるんだ」
「別の意味、ですか?」
「うん。追悼という、意味をね」
 僕は今まで、死という悲しい出来事に直面してきた。
 ユキさん、ミカ、アユミ、ラン、ツバサ、クルミ、アカネ、ミドリ、タマミ、ナナ、ルル、そして、モモ。
 大切な動物たちが天国に、いや、めいどの世界に旅立つときに、僕は必ず線香花火をしていた。
 冥福と、今までありがとうの、感謝を込めて。
「今までした線香花火は悲しかったけど、これからは、いや、去年からは悲しくなんてないよ」
「どうしてですか?」
「それは…」
 なでなで。
 僕は開いていた手で、モモの頭を撫でた。
「モモたちが、ずっと側にいてくれるから」
「…ご主人様」 
「…あっ、終わっちゃうね」
 線香花火は最後の火花を散らして、落ちて行った。
 それは同時に、花火の終わりを意味する。
「さてと、後片付けをして帰ろうか」
「はい」
 バケツの中にあった雪と花火の残骸を全てビニールに入れて、近くのごみ捨てに捨ててから公園を出た。
「楽しかった?」
 しばらく歩いてから、モモに今回の花火のことを聞いてみた。
「はい。楽しかったです」
「そっか。今度は、みんなでやろうね」
「はい。……でも」
「うん?」
「モモは、ご主人様がいてくれるだけで、楽しいです」
「そっか…。ありがとう」
 ちゅ。
 僕はモモの手を強く握り、感謝の気持ちを込めて頬にキスをした。
「さてと、早く家に帰ろうか」
「はい。ご主人様」
 雪が積もっている道を、僕たちは急いで我が家へと歩いた。
 冬の花火も、なかなかいいもんだ。

 おまけ
ツバサ「いや〜、おいしかったね、千石屋さんのおそばは」
ラン 「そうですね。おうどんもおいしかったです」
クルミ「でも、クルミはまだお腹が空いているの〜」
ミカ 「あんた、あれだけ食べてまだ足りないっていうの?」
アユミ「ざっと20人前は行っていましたわね」
タマミ「クルミお姉ちゃんがみなさん並みの胃袋を持っていたら、我が家の税制ははるかに助かるのですが」
アカネ「まあ、クルミ姉さんが大食いで、家のエンゼル係数の上昇率のおよそ80パーセントの原因なのは、前からわかりきっているからね」
ミドリ「はえ。そうれすか?」
ユキ 「それにしても、こんなものをいただいて、いいんでしょうか?」
ラン 「そうですね。やるにしても、季節が違いますし」
アユミ「しけないように、保存するしかありませんわね」
ツバサ「でも、冬にやるのもいいかもね。ほら、テレビで打ちあがるのは、1年中やっているし」
アカネ「まあ、悪くはないね」
ミドリ「ミドリさん、近くで観察して見たいれす」
クルミ「クルミも賛成なの〜」
タマミ「クルミお姉ちゃんは、ただお祭りで出ている食べ物のことだけを考えているんじゃないですか?」
クルミ「正解なの〜」
ユキ 「まあ、ルルさんは寒いのが苦手なので、もう少し温かくなったらすることにしましょう。花火を」
全員 「は〜い」

<終>


 後書き
 ふう〜、とりあえず短編1作品目、完成なの〜
「ご主人様、キャラが違うよ」
 おお、サキミじゃないか。
 なんだ? さみしくてこっちに来たか?
「うん。だってご主人様、次回予定を無くしちゃうんだもん。だから、暇になって…」
 そっかそっか。
 じゃあ、今度から俺のアシスタントとしてがんばってくれな。
「は〜い、ご主人様。にしても、おまけの部分、かなりわかりづらいんだけど」
 まあ、おまけだから気にするな。
「答えになってませんよ。…あれ? 何か小包が届いている」
 開けてくれよ。
「うん。よいっしょっと。あれ? なんだろう、これ?」
 何が入って……。
「ど、どうしたの、ご主人様? 顔が真っ青だよ」
 な、謎ジャムときょうふのあれが…。
 さ、差出人は誰になっている?
「えっと、書いてないみたい。あれ? メモのようなものが。はい」
 何だろう?
『今度こんなわけのわからない終わりかたしたら、私の特製ジャムをお見舞いしますわよ』
 ……。
 ……。
 やっぱり、まじめにやらなきゃだめだよな。
「何が書いてあったか知りませんけど、その通りだと私は思いますよ」
 あははは。
 まあ、今回はこの辺で終わりにしようっと。
 ではでは、また次回で。
 K'SARSと
「ハトのサキミでした〜」

メール 2003年08月29日 (金) 16時59分


[116]たてな
Re:冬の花火〜追憶と感謝の線香花火〜


あぁ、あのテーマが聴こえて来る…
鈴の音色も聞こえる…

雪が降る夜には、花火をして丘に登り…

どうでもいいっすね。そんな事は…(汗

花火は遊んで処理する物ですからねぇ…

我がオリキャラは、花火どころか冬でもかき氷
食べたりします。
むに:「冬に風鈴は綺麗よね」
たてな:「ヲイ、出所ちゃうやろ」

あったかいSSに感動です。

2003年08月29日 (金) 18時31分


[121]エマ
Re:冬の花火〜追憶と感謝の線香花火〜


はぁ……モモちゃんと二人っきりで花火……いいですなぁ実に(笑)

二人で一緒に、楽しみながらやると、もう季節なんて関係ないんですよね。なんていうか、花火の火って、心を落ち着かせてくれます。特に線香花火は。

最後にモモちゃんの頬にキスをするところ……愛情いっぱいですね。こういうシーン、読むと私デレデレになってしまいます(笑)

実にホットなSSでした。次も期待します!

メール 2003年09月08日 (月) 01時23分




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